シンポジウムについて
日本発達心理学会第36回大会 大会委員会企画シンポジウム(4PM1-C-AS02)
2025年3月4日(火)13:00~15:00 C会場(28号館1階112教室)
「発達」のリアリティ
保育現場における「事実」の解釈と、発達心理学における構成概念の適用とのはざまで
主 催 日本発達心理学会第36回大会委員会
企画司会 本 山 方 子(白梅学園大学子ども学部)
話題提供 小 松 孝 至(大阪教育大学総合教育系)
「わたしたち」の対話をつくることとその難しさ
話題提供 横 山 草 介(東京都市大学人間科学部)
可能性の文脈を希求し,見晴らしのよい理解の地平を目指す
話題提供 菅 野 幸 恵(青山学院大学コミュニティ人間科学部)
研究者(発達心理学者)の「戸惑い」と「危うさ」
指定討論 東 村 知 子(京都教育大学教育学部)
企画趣旨
保育現場における子どもの「発達」は現場の文脈で観察され記述された,了解可能な「事実」に基づいており,「発達」はいわば実体化される。一方で,発達心理学における「発達」や諸概念は構成概念であり,研究者はその構成の内実や適用範囲を「知っている」。発達心理学の諸概念や知見が保育現場に提供されるとき,現場は自らが観察し記述した「ゆるぎない「事実」」と照合して,新たな解釈を得ようとする。但し,あくまでも自らの保育の文脈における解釈であり,時に,学問的な「正しさ」よりも,咀嚼しやすく飲み込みやすい言及を優先的に選択する。あるいは,構成概念が「事実」の説明になじむほど,「発達」の実在性が高まりうる。 そこに居合わせ,提言する側の研究者は,何を感じるだろうか。学問と現場の文脈を切り分けて,現場独自の解釈に「寄り添って」,もの分かりのよい学者であろうとするのだろうか。それとも,伝えられることに限界を認め,現場独自の解釈を致し方なし,とするのか。あるいは,発達心理学における構成概念措定のありようを見直し,現場における「発達」との融合を試み続けるのか。いずれにしても,措定された構成概念適用のゆらぎに直面するだろう。
保育現場でも発達心理学でも,「発達」という表記は同じであるが,「発達」という用語を介してそれぞれが感知する「発達」のリアリティは同じなのか。異なるならば,発達心理学が現場や保育者養成に「貢献」するとはどういうことを指すのか。現場にとって新たな理解の仕方を提供することか。そのとき心理学者は何をしていることになるのか。本シンポジウムでは,以上の問いを議論する。